和食
突然ですが、和食がユネスコ無形文化遺産(※1)に登録されていることをみなさんご存じですか?
自然を尊ぶという日本人の気質に基づいた「食」に関する社会習慣が『和食:日本人の伝統的な食文化』として2013年12月に登録されました。
これは、和食をめぐる文化であって、和食のメニュー(天ぷらやお寿司など)のことではありません。
(1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根差した多様な食材が用いられています。
(2)健康的な食生活を支える栄養バランス
一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。
また、「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿や肥満防止に役立っています。
(3)自然の美しさや季節の移ろいの表現
食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつです。
季節の花や葉などで飾りつけたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。
(4)正月などの年中行事との密接な関わり
日本の食文化は、年中行事と密接に関わって育まれてきました。
自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきました。
ユネスコの無形文化遺産に登録されたことで、世界的にも有名になりました。
海外における日本食レストラン数は、約5.5万店(2013年)から11.8万店(2017年)へと2倍に増加し、
訪日外国人が日本の地方旅行でしたいことは、「温泉・自然観光地訪問」に次いで、
「郷土料理を食べる」ことと農林水産省も発表しています。
今までがそうだったように、今後も時代によってアレンジされ、少しずつ変わっていくでしょう。
和食の特徴の自然からの恵みや、栄養バランス、旬の食材や、季節の行事等を見直し、
あらためて伝えていくきっかけにしたいと思います。
※1 「ユネスコ無形文化遺産」とは、民族文化、口承伝統、社会的慣習、伝統工芸技術、
祭礼など、その地域に伝わる無形の文化の保護と継承を目的に登録されるものです。
日本では和紙、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、雅楽、京都祇園祭の山鉾行事、アイヌ古式舞踊、
結城紬など、全部で21の無形文化財が登録されています。